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丑三つ時の魔力。

お久しぶりでございまする。
FF最後にログインしたのは、確か10月末(待て)
皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は相変わらずのヒキコモリ生活です(コラ)

FF行ってないんですけどね、先ほど何事かを考えまして……
こんなん書いてみました。
丑三つ時って、手が進む(すべる)から不思議です。

短編です。








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【相棒】

 それは古くからの仲間内でのこと。
 久しぶりの故郷、サンドリアに戻ったときに呼び出されたのは、港区にある酒場。
 「少しは付き合え」という半ば強制のもと、しぶしぶと顔を出す。
 正直に言えば、そいつらに会うことが少し気が重かった。昔からエルヴァーンとしての誇りだのなんだと、良く口にのせている。冒険者として世界を知る前は、自分もそんな一員であったのだと突きつけられるようで、正直気分が悪い。
 悪いやつらではないとはわかるけれど、どこか話しがあわないような気がしてしまう。
 エルヴァーン至上主義。それはただの井の中の蛙ではないのか?
 そんなことを言おうものなら、畳み掛けられるようにして、誇りを思い出せだの、種族としての優位性だのと耳がタコになるようなことを繰り返される。
 苦い思いをかみ締めつつ、グラスをあおる。
「旅は順調か?」
 空いたグラスに新しい酒を注ぎつつ、尋ねてくる友人が一人。その言葉に他の友人らも興味津々に見つめてくる。
 結局、外に飛び出したのは自分だけということもあって、サンドリア以外の話に興味はあるようである。しかし、詳しいことを話すのは気が引けて、曖昧に笑って、
「うーん……ぼちぼちだよ。明後日にはまたジュノに戻って、獣人狩りさ」
「そうか。国のためにも、がんばれよ」
 俺は国じゃなくて、自分のためになんだけどな。
 思っていても、これも口にださない。出せばとたんに、繰り返しの話題だ。ごまかすように再びグラスを口に運ぶと、既に酔い気味の友人が高々とグラスを掲げる。
「我がサンドリア王国の繁栄を願って!」
 決まりきった音頭に、皆一様にグラスを掲げ、「乾杯」とグラスを鳴らす。
 直後に再び始まるのは、王国を称える会話ばかり。
 君たち、同じ話ばかりで飽きないのかい?
 やっぱりこなければ良かったと、微かに後悔する。しかし付き合いは付き合いなので、じっと我慢していた。
「それにしても他の奴らってのは、どうにも見分けがつかなくてな」
 これは、友人の中でも特に酒が弱いやつ。しかも少々酒癖が悪い。
 いつもの種族批判かと思い、あわてて周囲を見回すが、幸いなことに酒場にはエルヴァーン以外の姿はない。
 そんな俺の心配すら介さないように、彼らは暢気に話を続けている。
「職場で困るんだよな」
「ああ、半年たってようやく見分けつくようになったんだが……それでもダメなのがいてさぁ」
「タルタル、だろ?」
 瞬間、何がおかしいのが周囲が爆笑する。
「あいつら、絶対わかんねえ!」
「名札でもつけとけって、感じだよな」
「ていうか、男も女も一緒ってのが笑える」
「髪型でなんとか判別つけるんだけどなー」
「それならまだいいよ。うちの職場の奴なんか、ただでさえわかりにくいってのに、制服がチュニックなんだぞ?」
「うわ、それ最悪」
「絶対見分けつかないじゃん」
 彼らにとっては、酒の戯言なのかもしれない。が、さすがに我慢の限界。
 俺の相棒は、そのタルタルだよ!
 大人気なく、グラスを机に叩きつける。グラスが割れんばかりの音に、友人どころか酒場内の喧騒すら静まってしまった。
「俺、帰る」
 言い訳も、取り繕う気もなく、簡単に告げた。そして勘定分になりそうな貨幣を置くと、引き止める声もかまわずに、店を後にした。



 ジュノの混雑は相変わらずだ。
 特に下層の競売所では順番待ちの長蛇の列がなる。既に名物に近いらしいのが、失笑を誘ってしまう。
 そういえば、そろそろ薬品が切れるんだっけ。
 並ぼうかと一瞬考えると、係員の声がした。
「ただいま競売所、三十分待ちです」
 さすがにそんなに長く待ってはいられない。今日は年代物のワインを取りに行くという約束がある。今から上層か港区に移動することを考えるが、それもちょっと心もとないような気がした。
 他がどれくらい混んでいるかわからないし。
 どうするかと今一度、人ごみを見回す。すると、目につく一つの姿。
 ガルカとガルカの間に挟まれて、今にも踏みつけられそうになっている、白いチュニックの頭。列が前に進むとヒョコヒョコと進む。
 思わず笑みがこぼれそうになりながら、連絡用の真珠を取り出す。
「今、下層の競売前だろ」
 前置きなく告げると、驚いたような声音。
「え?! あれ?」
「後ろ」
 白いフードの頭が振り返ると同時に、わかりやすいように手を振ってやる。向こうも気づいたのか、嬉しそうに短い手を振ってきた。
「ごめん、ちょっと遅れるかも」
「いいよ。その代わり、一緒に毒消しとポーション買ってくれるか?」
「ダース?」
「毒消しはな。ポーションは3つ」
「わかった」
 相変わらず後ろを向いたまま、うなずこうとすると、列が進んだとガルカにせかされていた。
「ごめん、あとでいつもの場所で」
 それでも小さく頭を下げると、それだけ告げて、通信は途切れた。



 ジュノ下層、チョコボ屋の前。そこが待ち合わせの場所。待っている間、チョコボの姿を見ていると時間がつぶせるというのが理由だった。
「おまたせー」
 とててて、と軽やかに飛び跳ねて白いチュニックのタルタルが駆けてくる。そんなに急ぐと、いつか転ぶのではないかと内心冷や冷やしてしまう。
「はい。これ」
 先ほど頼んでいた薬品類を受け取りながら、貨幣と交換した。ポケットから財布を取り出し、大事そうにしまいながら、
「それにしても良くわかったね」
「何が?」
「友達だって、あの人ごみじゃ見分けつかないんだよ」
 そのことか、と納得した。
「普通わかるだろ?」
「そうかな?」
「実際、俺はわかっているわけだし」
「うーん……」
 逆に不思議に思う。どうして見分けがつかないんだ?
 そういえば、サンドリアの友人たちも言っていた気もする。
 しかし、なんで見分けがつかない?
「まぁ、わからないより、わかってくれるほうが、嬉しいかな」
 ふんわりと微笑みながら、そんなことを言う。それは俺も同感だった。
「だろ?」
「それじゃ行こうか?」
「そうだな」
 そうして、門をくぐる。今日も金欠という理由に付き合って、チョコボも使わずに歩いていく。
 てくてくと歩く小さな後頭部を見つめながら、不意に思った。
 俺はお前だったら、すぐに見分ける自信があるぞ。
 だって、大切な相棒なんだから。

 今日もロランベリーは晴れ渡っている。


                                          <了>

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各々のフェイスタイプはご自由にご想像ください。

でも、最後まで読んでくださったところで、こういうこと言うのもなんですが……
ごめんなさい、私、これを腐女子視点で書いてました。
(ていうか、こんなんで腐女子と考えるあたり、私、絶対腐りきっていると思う……)

まぁ、なんていうか……まだ課金しているので、キャラは消えてないです。
そのうち、多分、そのうち(要は未定)顔だすかもなので、そのときにはよしなにです。

では、おそまつさまでした m(__)m
by kyaokyawo | 2006-03-03 05:15 | 読み物
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